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理事長コラム
『時代を見つめる』

「翁長沖縄県知事のご逝去を悼む」

File.322018年8月31日発行

1945年6月23日は、沖縄戦の組織的戦闘が終結した日である。この日は戦争による惨禍が再び起きることのないよう、人類普遍の願いである恒久平和を希求するとともに、戦没者の霊を慰めるため、沖縄県の条例で「慰霊の日」と定められている。午前中、糸満市・摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で、沖縄県主催の「沖縄全戦没者追悼式」が開かれる。私も連合事務局長・会長の時には参列し、沖縄戦で亡くなられた全ての方々に心から哀悼の意を捧げた。太平洋戦争は、沖縄の皆さんの心に決して癒えることのない大きな傷跡を残しただけでなく、「米軍基地問題」という極めて深刻な問題を置き去りにしたままとなっている。米国から、1972年に日本に返還された後も、国土面積のわずか0.6%に過ぎない沖縄に、日本全国の米軍専用施設面積の74%が集中し、米軍が関係した事件・事故を含め県民生活に大きな負担を強いている。

事件・事故が後を絶たない本質的な要因は、在日米軍の地位や基地提供などを定めた「日米地位協定」に課題があるからだ。「日米地位協定」が結ばれてから50年数年が経過するが、日本政府はこの間地位協定の改定をしないまま、「運用の改善」で曖昧にしてきた。日本の司法権、警察権が直接関与できない現行の「日米地位協定」。問題解決のためには、基地における日本の主権を復元する抜本改定が不可欠である。全国知事会も8月14日、抜本的な見直しを日米両政府に提言した。

一方、世界の基地の中で、最も危険といわれている普天間基地問題の解決は急務であるが、さりとてそれを辺野古に移設することについては、単なる沖縄県内でのたらい回しに過ぎず、著しく沖縄に偏った基地の提供のあり方の是正につながるものではない。

沖縄の世論の象徴ともいえるのが、去る8月8日67歳で急逝した翁長知事だ。翁長氏は那覇市長を4期・12年努めて、辺野古埋め立て反対などの公約を掲げ沖縄県知事に就任した。その2014年沖縄県知事選挙において辺野古移設反対派の翁長雄志氏を支援する枠組みとして具現化したのが「オール沖縄」である。7月27日に名護市辺野古の埋め立て承認の撤廃を表明したのが、公の場に姿を現した最後となった。謹んでお悔やみを申し上げ、心よりご冥福をお祈りする。

政府は、日本の安全保障について、「沖縄の負担と犠牲に負っている」との現実に正面から向き合い、真に日本全体の問題として捉え、沖縄県民の気持ちや思いを斟酌(しんしゃく)する姿勢を示すことが必要である。既定路線だからといって、基地建設を強行するのではなく、沖縄に真摯に向き合い、寄り添い、丁寧な対話を進めるべきある。そして、それらの課題の一つひとつは、私たち沖縄以外の国民一人ひとりにも投げかけられている。

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