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理事長コラム
『時代を見つめる』

「6年ぶりの自民党・総裁選」

File.332018年9月28日発行

6年ぶりに党内の審判をうけた自民党・総裁選は、「カレーライス事件」、「ネクストバッターズサークル」、「恫喝・辞任勧告・圧力」などの三面記事的な言葉が踊った。また、総裁選の最終日に安倍総理が行った東京・秋葉原での街頭演説では、周りを支持者で固めたと報道された。もし真実であれば、何をか言わんやである。

総裁選は、我が国の総理大臣を決めるだけに、国民の関心も高い。しかし、今回は盛り上がりに欠けたと思ったのは、私だけではないと思う。その理由のひとつは、現職総裁に挑戦したのが一人となり、対立が目立ち政策論議に重みがなく低調であったこと、また、選前の予想から「安倍さんで決まり」が大勢を占めていたことなどであろう。

結果は、予想通り安倍総理が自民党総裁三選。しかし、当初予想されたような圧勝とはいかず、対立候補の石破元幹事長は、事前の予想を上回る善戦との受けとめが広がった。それは、善戦の目標とされた200票を50数票上回り、特に党員・党友からなる地方票は45%と安倍総理の55%に迫ったからだろう。

安倍総理は有力派閥の支持を得て、国会議員票は8割と圧勝したが、地方票は55%。地方の党員と永田町の意識との間の違いは歴然としていた。この差は何を物語っているのか。もちろん、党員・党友は全国有権者の1%にも満たない数である。しかし、国会議員よりもより国民・一般有権者に近いと判断すべきであり、世論の深層を反映しているとみるべきだと思う。この結果は、安倍政権の政権運営に根深い不信や不満があり、その運営の行方は磐石とは言えない選挙結果ではなかったか。総理は、この結果を真摯に謙虚に受けとめるべきだろう。

一方、総裁選の政策論議が深まらなかった要因のひとつに、緊張感のない政治情勢、いわゆる多弱と言われる野党の現状がある。しかし、総裁選の結果は前述したように、安倍一強への不満があることも明らかになっている。この不満の受け皿に野党がなるべく態勢の構築が急がれる。来年の統一自治体選挙と参議院議員選挙が重なる12年に一度の「猪年現象」は、過去の結果をみると自民党にとって鬼門である。野党の対応次第では、来年の政治が大きく動く可能性もある。

総裁選後、安倍総理はニューヨークにて、国連総会での演説や各国首脳との会談を精力的に行ったが、これから目前に迫った沖縄県知事選挙を含め、内政に潜在する諸課題をどうマネジメントしていくのかが問われるであろう。いずれにしても、政治は、超少子高齢・人口減少と成熟化社会の中での、社会保障・金融政策・財政再建を含めた、これからの日本社会のあり方、言い方を変えれば、このような環境の中で、国民が生き生きと暮せる社会の構想を示すという役割を果たすべきである。

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