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理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「久しぶりの北京」

File.462019年10月23日発行

中国・中華全国総工会の学校である中国労働関係学院の建校70周年記念式典に招かれ、10月中旬に北京市を訪れた。

一昨年(2017年)ソーシャル・アジア・フォーラムで、中国・アモイ市に行ったが、北京市は連合会長時代、2015年2月ITUC-AP(国際労働組合総連合・アジア太平洋地域組織)とACFTU(中華全国総工会)とのリーダーシップミーティングで訪問して以来、3年弱ぶりとなる。

折りしも、中国建国70周年の年であり、天安門広場には10月1日の記念式典・パレードの余韻が残っていた。これまでの訪問は会議の連続で、市内を見学する余裕もなかった。しかし、今回は、2016年末に設立され約30ヶ月で北京・上海・南京などを中心に1000店舗を展開する無人スマートコンビニの「便利蜂」を見学したり、ロボットで自動化した火鍋チェーン「海底撈」で昼食をとったり、またショッピングモールなど市内の雰囲気を体感することができた。1990年代から訪問している中国の目覚しい発展を改めて感じた。

中華全国総工会・副主席や学院の校長と、日本と中国の様ざまな課題を意見交換したが、先方が特に関心を持っていたことのひとつは、「プラザ合意時の日本の状況や対応」のことである。

ご存知のとおり、2018年7月、米国トランプ大統領は貿易赤字解消のため、中国から入ってくるハイテク商品など340億ドル分に25%の関税をかけ、当然、中国も同額の関税をかけて報復した。米中貿易摩擦である。

この状況が日本の過去とよく似ている。日本は、第二次世界大戦後、経済成長と技術革新により国際競争を強化し、米国に大量の日本製品を流出、激しい貿易摩擦を引き起こした。米国の対日貿易の赤字が500億ドルに達すると、日本の投資・金融・サービス市場の閉鎖性により米国企業が参入しにくいことが批判され、日米間のほとんどの分野で摩擦が生じて、いわゆるジャパンパッシングが起こるようになる。

そして、1985年9月、ニューヨークのプラザホテルで米国の財政赤字と貿易収支の赤字という「双子の赤字」を解消するため、先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁はドル高是正のための合意をした。日本にとっては大きなリスクを伴うことはいうまでもない。すべてがプラザ合意に原因があったわけではないが、以降日本は急速な低迷と、その後のバブル景気と崩壊を経験し、長期的な停滞に陥っていった。

中国はこの轍は踏みたくないとの思いなのであろう。ただ、米中の摩擦は貿易だけでなく外交・安全保障、次世代通信規格の5Gをはじめとする科学・技術を含めた世界の覇権争いであり、簡単に解消するとは私には思えないのだが・・・。

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