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理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「不思議なことが多すぎる感染拡大対応」

File.622021年2月15日発行

1月8日に首都圏1都3県に再発令され、13日に7府県に追加発令された緊急事態宣言は、2月7日の期限を待たず栃木県を除いて1カ月延長された。ここにきて、感染者数は確かに減少傾向にあるが、重症者数は依然高い水準で推移しており、引き続き医療提供体制は逼迫している。

1年強が経過した新型コロナウイルス感染拡大の対応に関して、私には不思議なことが多すぎる。

危機管理の要諦は最悪の事態を想定することだが、感染が収まらず緊急事態宣言が解除されない場合の追加措置は、何故明らかになっていないのか。

第1派後も、最大の課題は医療崩壊を防ぎ、感染者の増加に耐えうる医療体制の整備であった。しかも冬場の感染拡大は充分に予測されていた。しかし、ほとんど手つかずのまま第3波の感染拡大を迎えてしまったのは何故か。

人口当たりの病床数が世界一多い国である一方で、感染者数は米国の70分の1程度。何故感染者の病床はほとんど増えていないのか。医療資源の最適配置はどうしてできないのか。

何故昨年の夏や秋の段階で、特措法を改正せずに国会を閉じたのか。

このウイルスの特徴として無症状者による感染拡大があげられるが、その無症状者を発見するために検査体制を拡充すべきであるにも関わらず、動きは鈍い。希望する人が低コストで迅速に検査を受けられる体制作りは何故できないのか。

ワクチン接種の準備が進んでいるが、日本の注射器では6回分と思っていたひと瓶が5回分しか取れないとの報道。何故、その種のことが明らかになるのが今頃か。

企業に求めているテレワークが、省庁含む政府内では何故励行されていないのか。
などなど・・・。

検査拡充については専門家のなかでも根強い批判や反論もあることや、医療体制についても単純比較だけではなく様々な課題があることも承知している。

ホームページなどで検索したり、インターネットに提起されている論文を読めばわかるのかもしれない。しかし、一般の国民は日々の生活の中でそんな余裕のない人も多い。

国民誰もがこれまで経験したことのない危機であり、難しい局面であることは理解している。

だからこそ、政府は国民の率直な疑問に、わかりやすいメッセージを臨機応変に発信し続けなければならない。国民に真摯に向き合い説明責任を果たさなければ、危機的な状況は乗り切れない。

新型コロナウイルス感染拡大は、一部の専門家や政治家、そして関心のある人だけの問題ではなく、すべての国民全体の命にかかわる課題であるからだ。

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