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理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「こわいをしって、へいわがわかった」

File.792022年7月 5日発行

去る6月23日の沖縄全戦没者追悼式で、沖縄市立小山小学校2年生の徳元穂菜さんが「平和の詩~こわいをしって、へいわがわかった~」を朗読した。

当日にリアルタイムで聞くことは出来なかったので、後日、インターネットの動画を見たが、ゆっくりとしっかりとした声だった。

家族で行った美術館で沖縄戦の絵を見て、初めて日常にある平和の意味を考え、自らが見つけた平和や戦争の怖さ、平和のありがたさを詩にした作品で心をうつ。あっという間に書きあげ、お母さんが「もう少し説明したら」と助言したが、そのまま提出したという。

沖縄は今年で祖国復帰50年の節目の年を迎え、沖縄戦の終結から77年が経過した。

6月23日は旧日本軍が組織的戦闘を終えた日とされ、最後の激戦地だった糸満市摩文仁(まぶに)の平和記念公園には、国籍や軍民を問わず戦没者の氏名を刻んだ石碑「平和の礎(いしじ)」がある。今年新たに55人が追加され、計24万1686人となった。沖縄戦では県民の4人に1人が犠牲になったのだ。

今年は地元の有志の企画で、刻まれたすべての名前を読み上げる取り組みが1500人以上が参加し、オンラインで行われた。前日の22日からは「平和記念公園」に場所を移して夜通し読み上げられた。

ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにし、国際社会は厳しい現実に直面している。また、台湾有事の危機が叫ばれるなど、東アジアの国際情勢は緊迫しており、地理的に中国や台湾に近く米軍基地のある沖縄の不安は高まっている。

いかなる理由があっても、人の命を奪う戦争は認めることは出来ない。命の大切さを改めて認識し、平和の尊さを深く心に刻み、平和への願いを新たにしたい。

そのためにも、沖縄戦の惨劇を決して忘れてはならないし、風化させてはならない。

同時に私たちが、思いをいたさなければならない重要なことがある。太平洋戦争は、沖縄の皆さんの心に決して癒えることのない大きな傷跡を残しただけでなく、「米軍基地問題」という極めて深刻な問題を置き去りにしたままとなっている。

国土面積のわずか0.6%に過ぎないこの島に、日本全国の米軍専用施設面積の約7割が集中し、県民生活に大きな負担を強いている。

私たちに復帰50年で問われているのは、沖縄の負担と犠牲のうえに、今日の平和や日本の安全保障がある現実に正面から向き合い、沖縄の歴史や思いを踏まえ、平和のために追求すべきことを改めて熟慮することである。

穂菜さんの詩は、「へいわをつかみたい/ずっとポケットにいれてもっておく/ぜったいにおとさないように/なくさないように/わすれないように/こわいをしって、へいわがわかった」で終る。

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