研究委員会報告
EUの雇用・社会保障政策の最近の動き

     濱 口 桂一郎




1 EU労働社会政策の流れ

 労働や社会保障といった社会政策に関わる分野は、近代国家にとって政治イデオロギーの基本に関わる問題であった。19世紀以来、社会問題は内政の一大争点となり、各国における政治勢力の配置は、自営業者を含む経営者層を支持基盤とする市場志向、より自由志向な勢力と、組織労働者層を支持基盤とする組織志向、より公正志向な勢力から組み立てられてきた。戦後ヨーロッパ諸国では、この対立をある種の妥協、即ち市場システムの大枠を維持しながら、様々な社会的規制を加味することで労働者の保護を図り、福祉国家化を進めるという方向で緩和する試みを続けてきたが,1980年代のサッチャリズムの登場以来、再び鋭い対立軸が浮かび上がってきた。そして、1980年代後半以降、サッチャリズムに対抗してミッテランに送り込まれたドロール欧州委員会委員長がEUレベルでの社会民主主義路線を推し進め始めて、この対立軸がEUの政治過程の中心的テーマにのせられるに至った。ドロールは、単一欧州議定書、社会憲章、マーストリヒト条約と、続々とソシアル・ヨーロッパ路線を展開し、1990年代初頭にはEUレベルのコーポラティズムへの期待が昂揚した。

 ところが、EUの大目標である経済通貨統合について、マーストリヒト条約は厳格な収斂基準を定め、一般政府財政赤字のGDP比を3%以内、債務残高のGDP比を60%以内にすることを加盟国に要求した。これを達成するためには、加盟国は大幅な財政支出の削減を余儀なくされ、戦後先進国で一般的であったケインズ的フィスカル・ポリシーによる完全雇用政策を採ることはきわめて困難となる。また、財政支出の削減はそのかなりの部分を占める膨大な社会保障費の削減を要請することになる。単純化していえば、経済通貨統合は、欧州の労働者にとっては彼らから雇用と社会保障を奪うもの、いわばリベラル・ヨーロッパの象徴と受け取られ、反EU感情を掻き立てることになった。

 しかしながら、ドロールのもとでソシアル・ヨーロッパ路線を立案実施してきた欧州委員会第5総局(労働社会政策担当)の立場からは、この対立図式は望ましいものではない。ナショナルな権限の強調はEU官僚の立場に反するし、リベラリズムの強調は自分たちの本領である社会政策の意義を失わせる危険がある。彼らが打ち出したのは、「雇用」というファクターを導入し,雇用を促進するという観点からこれまでの各国の社会保障制度の抜本的改革を訴えるという戦略であった。

2 EU雇用政策の展開

 雇用問題の強調は、EU社会政策において両義的な性格を持っている。いうまでもなく完全雇用はソシアル派のテーゼである。社会民主主義者は失業を放置する自由主義を批判し、マクロなケインジアン政策とミクロな失業者援護策によって失業の解消を図ることを主張する。この意味ではEUレベルの雇用政策はソシアル・ヨーロッパ路線以降の何者でもないように見える。

 しかしながら、手厚い福祉や労働者保護と雇用の間にトレードオフ関係があるという主張がなされるならば、話は複雑になる。規制緩和により、福祉や労働者保護を引き下げることこそが雇用を拡大する道であるということになるからである。

 この議論を提起したのはサッチャー政権のイギリスであった。1986年9月、イギリスのクラーク雇用相が労働社会相理事会に提出した「雇用成長のための条件の創出――労働市場戦略」は、柔軟な雇用形態と労働条件こそが雇用創出の条件だとして規制緩和を主張した。これに対して大陸諸国のソシアル派が、労働市場の柔軟化が進められれば労働者の基本的権利が奪われると猛反発して結局事態は社会憲章の制定という方向になだれ込んでいったわけであるが、1990年代に入って失業率が急上昇する中で、遂にドロール率いる欧州委員会も路線の転換に踏み切らざるを得ない事態に立ち至った。

 この路線転換を決定的に示したものが、1993年12月に提出された「成長、競争力、雇用――21世紀に向けての挑戦と方途」(COM(93)700)通称「ドロール白書」である。同白書は、労働市場の硬直性を構造的失業の原因とし、労働市場の柔軟性を高め、企業の競争力を高めるための措置を加盟国に提言した。雇用創出のための具体的対策として、(a)生涯を通じた教育・訓練、(b)労働市場の柔軟性、(c)労働法制の企業レベルへの分権化、(d)未熟練労働費用の削減、(e)失業者への所得保障から積極的雇用政策への転換、が慫慂されている。

 この処方箋はかなりの程度、サッチャー政権が提示したものと共通している。では、欧州委員会はリベラル・ヨーロッパ派に宗旨江替えしたのだろうか。EU社会政策の哲学は一体どこにあるのか?という問題意識が当然湧いてくる。

 この問いを一番深刻に考えたのはいうまでもなく欧州委員会第5総局自身である。ドロール白書と相前後して、1993年11月に「ヨーロッパ社会政策の選択に関するグリーンペーパー」(COM(93)551)を、翌1994年7月には「ヨーロッパ社会政策白書」(COM(94)333)を発表し、新たな路線を模索した。

 グリーンペーパーは「第2次大戦以降現在まで、我々は経済面と社会面の双方をうまく結びつけることに成功してきた。しかし、失業問題が悪化するにつれて、過去のやり方では現在の諸問題は解決できないことが明白になってきた」と、今までの路線が曲がり角に来ていることを認め、「仕事を持つことは単に金銭を稼ぐ以上の意味がある。仕事は人々に社会における地位を与える。仕事は人々に尊厳、社会との接触、「成長を増加させるというのが失業問題に対する一つの回答であるが、これと同時に雇用創出に対する構造的障害の除去も検討しなければならない」と、婉曲的な言い回しながら労働市場の硬直性の除去の必要性を指摘している。また、「我々の社会保障の水準が高すぎ、競争力を損なっているという批判をする人もいる。しかし、この批判は経験的に証明されていない」といったんは挑戦を受けながらも、「本当に議論しなければならないのは、水準が高いか低いかではなく、一般的に望ましいと考えられる施策間のトレード・オフと、これが政府の予算や企業の競争力に与える影響である」と問題の所在を認め、「我々は、消極的に所得を維持することに主眼をおいた現在のシステムを、人々の社会への統合を目指した活力あるシステムへ変えていく必要がある」と社会保障制度の抜本的改革を示唆している。

 グリーンペーパーへの各界の意見を踏まえて書かれた社会政策白書では、社会的規制を加えた市場経済という戦後ヨーロッパ社会の大枠組の哲学をヨーロッパ社会モデルの基礎をなす共通の価値観と呼び、「この共通の価値観は維持されるべきだという点については、たとえその実行方法において全く抜本的な変化が必要とされるにせよ、広範な合意があった」と述べる。ではいかなる「抜本的な変化」が必要とされているのか?それは「連帯」のあり方である。現状は、消極的な資源の移転という方式に偏りすぎている。これはより積極的な「機会のよりよい配分」によって補完し、代替していかなければならない。言い換えれば、福祉国家の概念に立脚した伝統的なヨーロッパの社会保障制度は重要な達成であるけれども、今後は雇用に最優先順位を与えて、福祉と富の創造機能の間の協調を図ることが必要であり、

 そのためにも全ての人々を社会に統合していくことが目標にならないければならない。

 ここに提示されているのは、敢えて言えばネオ・ソシアル・ヨーロッパ宣言とでもいうべきものであろう。消極的な所得移転や硬直的な労働者保護から脱却し、雇用を通じた万人の社会的統合を「連帯」のシンボルとして掲げようとするこの路線は、これまでのリベラルとソシアルの対立図式を超えた地点に狙いを定めている。社会のあり方の根本に立ち返ってヨーロッパの未来を真摯に考える第5総局のEU官僚たちの息づかいが聞こえてくるようである。

3 アムステルダム条約による雇用政策条項と最近の雇用政策の推移

 上で述べたように、90年代に入って、EUレベルの雇用政策が正面から取り上げられるようになった。この流れを法制的に明示したのが、1997年6月のアムステルダム条約によるコーマ条約(EUの基本法)の改正であり、全6条からなる雇用政策条項が規定されたのである。アムステルダム条約は本年5月1日に批准が終了し、発効したが、これを待たずに既に雇用政策条項の手続を先取りする形で近年の雇用政策が展開されてきている。具体的には、新第128条に沿って、欧州理事会の「結論」→閣僚理事会の「雇用指針」→加盟国の「年次報告」→閣僚理事会の「検査」と「勧告」→閣僚理事会と欧州委員会の「合同年次報告」→欧州理事会の「結論」、という政策サイクルが1997年末から始動しているのである。

 新条約が成立して間もない1997年10月、欧州委員会は「1997年欧州雇用報告」「1997年合同雇用報告案」「1998年雇用政策指針案」を公表、同月の労働社会相理事会の了承を経て、11月のルクセンブルクと区別雇用欧州理事会に提出された。このサミットの議長国結論文書の第2部として1998年指針が盛り込まれ、雇用可能性(employability)の改善、企業家精神(enterpreneurship)の発展、適応能力(adaptability)の奨励、機会均等の強化という4つの項目に分けて加盟国がとるべき政策が記述された。第1部では、この指針の扱いについて、アムステルダム条約によって導入された革新的手法として、欧州委員会の提案に基づき理事会によって採択された「指針」に基づき、各加盟国が「国別雇用行動計画」を策定し、この中で国ごとにデッドラインを設定して望まれる結果の達成に向けて行政的、財政的資源を活用し、経済通貨統合における収斂プロセスに適用される多角的審査プロセスと同様の方法によって、各加盟国が毎年行動計画と実施報告を提出し、これを基礎として毎年レビューを行うという枠組みが成立したと述べている。

 この「結論」を受けて、12月の労働社会相理事会が正式に「1993年雇用指針」を採択した。

 1998年に入り、各加盟国が順次国別行動計画を提出してきたが、5月に欧州委員会は「指針から行動へ:雇用のための国別行動計画」というコミュニケーションを発出し、各国の行動計画のアセスメントを行った。6月、労働社会相理事会での議論を経て、カーディフ欧州理事会が開かれ、コミュニケーションを了承するとともに、計画の迅速な実施を求め、特にその実施を計測する比較可能な指標の開発の必要が強調され、また労使団体の関与が求められた。

 1998年10月、欧州委員会は「1999年雇用指針案」「1998年合同雇用報告案」「1998年雇用率報告」を公表した。指針案は継続性を強調して昨年と同じ4つの柱からなっており、新たな要素として少数民族の統合、生涯学習の促進、サービス業における雇用創出の促進を上げている。合同報告案は4月に提出された国別行動計画と7月に提出された国別実施状況報告に基づき、4つの柱ごとに状況を記述している。雇用率報告はルクセンブルク欧州理事会の要請に基づき、各国の雇用パフォーマンスを雇用創出と雇用喪失の分析を通じて雇用率に着目して概観している。

 これらは12月、労働社会相理事会を経てウィーン欧州理事会に提出され、サミットは合同報告及び新指針を了承した。これを受けて、1999年2月の労働社会相理事会が正式に「1999年雇用指針」を採択した。現在はこれに基づき、各国が年次報告を作成しているところである。

4 EU社会保障政策の模索

 以下、最近の公表文書をサーベイする形で、EUの社会保障政策を見ていきたい。なお、日本との比較の上で念頭においておくべきことは、欧州委員会の組織上、担当の第5総局は労働・社会保障・公衆衛生等社会問題一般の広範な分野を所掌しており、日本のように労働省と厚生省に分かれていないため、社会保障プロパーの狭い範囲にとらわれず、現実の問題意識に対応して雇用問題に焦点を当てた社会保障政策を提起しているという点である。今後日本でも厚生労働省が設置されることになるが、今までの枠を越えて総合的な政策を構築していくことができるか、EUの姿は一つの指針となるものであろう。

(1)「社会保障の近代化と改善」
  ――エンプロイメント・フレンドリーの強調――

 1997年3月欧州委員会は「欧州における社会保障の近代化と改善」(Modernising and improving social protection in the European Union)(COM(97)102)と題するコミュニケーションを発表した。現在までのところ、社会保障という領域をカバーした包括的な文書としては最新のものである。それによれば、EU各国の現行の社会保障制度は数十年前に作られたものであり、今日の社会の経済的社会的条件に対応していない。EUの全GDPの28%に達する社会保障制度は、労働の性質の変化、人口の高齢化、職業生活におけるジェンダーバランスといった変化に対応しなければならない。

 この観点から、同文書は、生産要素としての社会保障(Social protection as a productive factor)という立場を明確にしつつ、より雇用親和的(employment-friendly)な社会保障制度を呼び掛けている。雇用親和的な社会保障制度とはどのようなものであろうか。

 それはまず第1に徴収や給付の仕組みを雇用インセンティブを高めるように統合改善することである。求職者が就職するインセンティブを高め、その生涯を除去することである。現実には、失業者でいることによって得られる収入の方が、就職して得られる収入を上回るという事態があり得るのだ。この就職へのディスインセンティブが「失業の罠」(unemployment trap)を作り出す。失業手当の喪失に加えて、税金や社会保障費が課せられる結果、手取り収入は減少する。受給者はもはや就職しようという意欲を持てなくなる。この関係で、家族が仕事をしていない場合に家族手当を出すというしくみは好ましくない。特に、配偶者が収入活動をしていない場合にのみ特別に追加的な失業手当を支給するようなやり方は、就職へのディスインセンティブを倍加させる。さらに、家族手当や住宅手当の支給に所得制限を課することで「貧困の罠」(poverty trap)に陥らせてしまう。公共保育や保育への補助のような間接的、非賃金的所得援助も、家庭責任を有する労働者特に低所得単身世帯を長期的な依存状態から脱却させるのに役立つ。

 第2に、失業保険の仕組みを雇用可能性保険(employability insurance)の方向に発展させることである。消極的な所得の移転から積極的な生涯学習(life-long learning)を目指した政策への転換である。現行の失業保険は、一次的に仕事を離れているがすぐに以前と同じか似たような技能の仕事に就くことを前提に組み立てられているが、今日では労働市場はより高い技能、新しい技能を求め、求職者はこれに応えなければならなくなってきている。生涯学習が労働市場への参加の要件になりつつあるのだ。現行の失業保険制度は失業者を無技能、低技能のまま手当を支給し続けることで、彼らを労働市場から、そして社会一般から疎外する結果となっている。これを失業者が技能を向上させ、新たな技能を身につけることを援助し、労働市場に再参加することを支援するような制度に、「エンプロイヤビリティ」を高める保険制度に変えていく必要がある。

 第3に、低技能労働者の総賃金コストと手取り賃金のギャップを狭めることである。使用者にとって雇いやすくすることである。1980年から1994年にかけて、資本、自営業、エネルギー、天然資源等の生産要素への課税率は44.1%から35.2%に下がっているのに、雇用労働への課税率は34.7%から40.5%に上昇している。そのため、使用者にとって低技能労働者を雇用するインセンティブがますます働かなくなってきている。これは既にドロール白書で指摘されているにも関わらず、目立った改善が見られない。歳入減には環境税やエネルギー税を導入することで対応すべきである。

 第4に高齢労働者の雇用インセンティブを高めることである。引退年齢の引き上げと段階的な引退への推移が目指される。これまで欧州各国は若年失業者の雇用確保のため、年金の早期支給などの早期引退促進政策を採ってきた。この結果55歳以上の雇用率は顕著に下落した。早期引退が一般化するにつれ、企業も高年齢労働者の技能に投資しなくなり、ますます早期引退化が進む。このままいけば、60歳を超えたら雇用不可能(unemployable)ということになりかねない。しかしながら、平均寿命が延びるにつれて、どの国も年金圧力を緩和するために引退年齢の引き上げを考えざるを得なくなりつつあるのだ。流れを変え、生涯学習への更なる投資と仕事から引退へのフレクシブルな移行の仕組みを作っていかなければならない。そのためにも高齢者にふさわしい仕事を作っていく必要がある。

 第5に、最低所得保障制度と連動させることにより、社会的統合政策を活性化することである。現行社会保障制度は、労働者に対し、労働の一次的中断(疾病、失業)又は決定的中断(恒久的障害、引退)の時期に補償所得を与えることを目的としている。そういうものとして、これは貧困の軽減には効果を発揮してきた。しかしながら、今や社会的疎外という新たな事態に直面している。教育の欠如、健康の悪化、ホームレス、家族のつながりの欠如、社会生活からの引きこもり、職業機会の欠如、これらがお互いに原因となり結果となって悪循環をなしている。社会保障制度は、彼らに単に所得を与えるだけでなく、社会に再統合することを援助する役割を持っている。このため、1992年の社会保障勧告で提起された最低所得保障制度が包括的な政策に統合されるべきである。ここでは助成金による非営利セクターにおける就労を通じた社会への再統合が示唆されている。

 このように、「エンプロイメント・フレンドリー」という言葉がキーワードとなって、雇用促進に役立つ社会保障制度が慫慂されているのが最大の特徴といえよう。以上見てきてわかるように、これは社会保障に関する文書であると同時に、それ以上に雇用政策そのものでもある。むしろ、雇用政策と社会保障政策は同じ目的を追求するものとして位置づけられているのがEUの新たな社会政策なのだといってもいいかも知れない。

 こういう雇用最優先のネオ・ソシアル路線は、これまでのオールド・ソシアルとは違う形で、しかしながらはっきりと社会保障制度を擁護する。社会保障制度を成長と競争力に対するコストとしか考えないリベラル派に対して、明確に社会保障は生産要素であり、競争力向上の鍵となる要素であると主張し、そういう社会保障制度への改革を主張するのである。

(2)女性、高齢者の雇用と社会保障制度

 一般的な雇用政策と社会保障に関する考え方は以上で明確になった。上記「近代化と改善」のコミュニケーションは、これに併せて、人口高齢化への適応とジェンダー・バランスの変化への適応という2つの章を設けて論じている。

(イ)「ジェンダー・バランスの変化への適応

 女性の労働市場への参加は今後更に続くであろう。新たなジェンダー・バランスに社会保障制度を適応させるために、欧州委員会は2点を指摘している。第1は職業生活と家庭生活の調和(reconciling working and family life)であり、第2は権利の個人化である。

 前者については、1995年、EUレベルの初めての労働協約として育児休業協約が締結され、翌年指令として採択された。これは父親及び母親にそれぞれ最低3ヵ月ずつの育児休業の権利を付与するものである。また、1995年の「男女機会均等行動計画」の中で、子供や他の家族のケアに関する枠組み指令案を提案したい旨の意向を明らかにしている。

 後者は複雑な問題である。現行の社会保障制度では、労働者の妻や子供は労働者の社会保障から派生する権利のもとにおかれており、これまでは彼らを貧困から守るという役割を果たして来た。しかし、これは女性の男性に対する従属をもたらす。また、女性の労働市場への参加に対するディスインセンティブとなり、社会保障のない周辺的な就業に追いやることにもなる。さらに、遺族年金は死んだ夫の保険料に応じて決まるので、一度も働いたことのない金持ちの妻が多額の年金を得る一方で、一生低賃金で働いた独身者は低額の年金しか得られず、社会保障制度は低所得者から高所得者への再分配をすることになる。そこで、社会保障制度における受給の権利を個人化することが提起されるわけであるが、現状を前提すれば、多くの女性が年金を受け取れなくなり、貧困線以下に陥るおそれがある。欧州委員会が解決の方向として提示するのは、全ての引退年齢以上の者に基礎老齢年金を支給するとともに、これに職域年金を上乗せするというものである。現在各国で進んでいる支払い保険料と年金支給額をリンクさせるという方向は、却ってこの問題の解決を困難にするものだと批判している。

(ロ)人口の高齢化への適応

 人口の高齢化に伴い、EU諸国の公的年金支出は1995年から2030年にかけて、平均で12%から16%に上昇すると見込まれる。公的年金制度を持続可能なものとするために、賦課方式から積立方式への移行が必要との議論があるが、そもそもいずれであっても現在のGDPを労働力人口と引退人口で分配することに変わりはないし、移行期にはいわゆる二重の負担問題が発生し、現実的でない。最も重要なことは現在60歳以下になりなお下がりつつある引退年齢を引き上げることである。さもなければ、保険料を上げるか、財政支出を増やすか、年金額を減らすしかない。

 職域年金については、現在既得権指令及び賃金確保指令で一定の保護が図られているが、更に包括的な対策が必要であるとしている。

 その他、高齢者の介護やヘルスケアについても触れているが省略する。

(3)社会保障制度に関する報告

 1999年1月、欧州委員会は「社会保障制度の財源と社会的援助の共通基準に関する勧告の実施に関する報告」(Commission report on the implementation of the Recommendation 92/441/BEC of June 1992 on common criteria concerning sufficient resources and social assistance in social protection systems)(COM(1998)774)を公表した。これは、(1)の第5で述べた最低所得保障制度の問題に絞って、これと雇用政策との連携のあり方について各国の例を分析している。

 この報告は標題にある通り1992年のEU勧告の実施状況報告という形をとっているが、この勧告は1989年のEU社会憲章第10条第2項※1に基づき採択された一般的社会保障に関する数少ない法例(拘束力のない)の一つである。その内容は、@必要に応じた個人の基本的権利であること、A加盟国の全ての領域の全ての住民に適用されること、B特定額の資力に満たない全ての者は、能力に応じて、十分な資力を持つ権利を与えられること、Cその権利には期間制限は課されず、期間制限があっても更新が認められること、Dこの扶助制度は一般社会保障制度の補完であり、E対象者の社会的経済的統合政策、すなわち医療、住宅、訓練等のサービスを伴うこと、等である。

 この報告の位置付けを先取り的に述べれば、手厚い福祉と労働者保護に彩られたドロール時代のソシアル・ヨーロッパ路線を、雇用と社会統合を目指すネオ・ソシアル路線に転換しようとする中で、「福祉から雇用へ」の道筋を明らかにしようとする試みの一つと評することができるであろう。

(イ)最低所得保障制度の近年の趨勢

 社会保障制度による社会的所得移転の中で、最低所得保障制度は所得再分配の最終セイフティーネットであり、いかなる拠出も要せず基本的なニーズをカバーすることによって社会の最貧層を援助するものである。1980年代末以来その受益者数は増加している。この原因は増加、長期化する失業とともに、家庭崩壊等の社会的破綻の増加であり、独身男性や単親家庭の割合が高い。

 最低所得保障制度は本来当面のお金がない人々への短期的な援助として設けられたものだが、援助が長期化するにつれ、制度から脱却することが困難になる。失業が増加、長期化する中で、最低所得制度は失業保険制度を補完する役割を果たすようになってきている。最低所得受給者のうち、ドイツでは3分の1、フランスでは3分の2が求職者である。学卒未就職者のように失業保険の受給権のない者のラストリゾートでもある。最低所得受給者が失業保険受給者のように一般雇用対策にアクセスしにくいことが求職への障害となっている。イギリス、アイルランド、デンマークでは拠出無拠出に関わらず失業者は同額の手当を受け、同じ雇用対策にアクセスできる。重要な副作用は、失業保険から最低所得保障への移動は国家財政から地方財政への責任の転嫁になっているという点である。提供される雇用が不安定で、再び最低所得制度に戻れる見込みが不透明であれば、制度を離れたがらないのも無理からぬものがある。雇用労働者でありながら最低所得を受給しているものも増えている。これはパートタイムや非典型労働の増加を反映している。

(ロ)雇用への道筋

 最低所得受給者を雇用に結びつけようと、加盟国は様々な努力を行っている。多くの国で雇用対策は国の、社会サービスは地方の行政と分かれており、社会サービスは伝統的に失業への対応を自分たちの仕事と考えず、保護対象者の直面する多くの困難の一つに過ぎないと見る傾向がある。幾つかの国はこの分離が最低所得受給者の雇用への道を狭めていることに気づき、両者の接近を図っている。報告はいくつかの例をあげているが、興味深いものとして、オランダでは2001年までに公共職業サービス、社会援助事務所、社会実施庁(social executive agency)を統合して、ワンストップの職業・所得センターを設置することになっている。イギリスでは社会扶助事務所(Benefits Agency)の職員が職業サービスに常駐している。

 最低所得受給者で職業訓練を受けるものは少ないが、これは財政的制約を別にしても、訓練を受けるために必要な基礎的な技能や能力に欠けるものが多いからである。イギリスの「ニュー・ディール」では、訓練に先立って基礎的技能を提供する4ヵ月の「ゲートウェイ」期間が設けられ、総務教育レベルの全国訓練資格レベル2に達しないものには12ヵ月のフルタイムの教育訓練が提供される。

 9ヵ国で、社会的に有用な活動、例えば公共工事、環境改善、地域コミュニティサービス、病院といった分野で、地方政府によりボランタリー活動に対する特別の措置が採られている。参加者は最低所得に加えて、ボーナスや費用補填の形で追加所得を受け取る。これは完全な不活動性を避け、社会的疎外を減らす目的であるが、現実の労働市場を反映するものではないので、参加者は依然社会保護に依存し、年金や失業保険のような拠出型社会保険の権利を得られない。このため、仏独等でも非営利セクターにおける助成金付雇用に道を譲りつつある。

 この選択肢は加盟国でもっとも好まれている。地方政府は、特に社会的経済セクター、地方・公共的サービスにおいて、場合によっては自ら雇用主となって、直接に雇用の創出に関わる。仕事の内容は上のボランタリー活動と似ているが、雇用契約が結ばれ、社会保険料が控除される。独の Hilfa zur Arbelt、仏のcontrats emploi aclidarite、contrats emploi consolideなど、8ヵ国で実施されている。しかしこれらの仕事は低賃金、パートタイム、短期で更新の保証もない。1年以上継続するものは稀である。恒常的な雇用に復帰するには問題が多い。

 雇用促進のために助成金や社会保険料の減免を行う国は多いが、英独仏等6カ国は特に最低所得受給者の雇用にインセンティブを設けている。使用者は一般的にこれらの雇用に積極的ではないが、常用雇用への移行という点では上記施策よりも効果を収めている。なお、最近仏西等で最低所得受給者の自営業の開業や会社の設立といった試みが始まった。

 最低所得率と平均賃金ないし最低賃金の関係は、受給者の雇用への復帰に大きな影響を与える。求職への刺激として最低所得の引き下げは理論的には可能だが、最低生活レベルと見なされていることから実施は困難である。しかし、加盟国は、就職を断ったり統合措置への参加を拒んだりする受給者に対して、支給の停止や削減といった制裁を課している。

 最低所得から賃金労働への移行を容易にするために、独仏等6ヵ国は最低所得を全額又は部分的に賃金に上乗せする1年から3年の移行期間を設定している。この措置を効果的にするためには、労働法、社会保障、訓練、積極的労働市場政策、税制等の適切な連携が必要である。

 さらに、受給者の雇用への復帰を援助するため、言語コース、運転教習等テーラーメードの個人別プロジェクトを実施する国も増えてきている。

 こういった諸問題について、今後欧州委員会は労使、NGOその他の市民社会組織などのステークホールダーと討論し、将来的にはアムステルダム条約による改正後のローマ条約の新第137条(理事会は……社会的疎外と戦うために、知識の向上、情報及び好事例の交換促進、革新的な取組みや経験の評価を高めることを目的とした主導権発揮を通して、加盟国間の協力を促進する施策を採択することができる)に基づく提案をしていきたい旨を示唆している。

(4)全ての年齢層のための欧州を目指して
  (EUの高齢者政策)
 1999年5月、欧州委員会は「全ての年齢層のための欧州を目指して:繁栄と世代を超えた連帯を促進する」(Towards a Europe for All Ages:Promoting Prosperity and Intergenerational Solidarity)(COM(1999)221)と題するコミュニケーションを発表した。これは(1)の第4と(2)の(ロ)で概観した高齢者政策を膨らませたもので、国連の国際高齢者年に向けたEUとしての取組みの一環である。同文書は、今後ヨーロッパ諸国が直面する人口の高齢化を概観した上で、雇用政策、年金問題、健康・介護問題に分けて分析を行い、今後の政策方向を提示している。

(イ)雇用政策と慣行の高齢化への適応

 これまで多くの諸国で採られてきた早期退職促進政策は、その目的であった若年者雇用の創出にさえ有効ではない。今後人口が高齢化する中で今までのような早期引退の趨勢が続けば、労働力不足と老人扶養負担の増大をもたらす。一般的に高齢者は衰退産業に多く、ブルーカラーや管理職に多いため、その雇用減少の影響を受ける。また教育訓練は若年者に集中され、高齢者は疎外されてやむなく早期退職の道を選んでいる。仏等では高齢者のリストラ解雇を禁止する政策を採っているが、高齢者雇用は必ずしも継続雇用ではなく、臨時、パート、下請け、中小、自営等フレクシブルな働き方で雇用の創出を考えるべきである。特に、サービス業、地域社会、第三セクター企業は高齢者のアクティブ・エイジングと段階的引退に適合的である。

 なお今後、アムステルダム条約による改正後のローマ条約の第13条(理事会は、欧州委員会の提案に基づき、全会一致により、欧州議会に協議して、性別、人種的又は民族的出身、宗教又は信条、障害、年齢、性的志向に基づく差別と戦うための適当な措置を採ることができる)に基づき、年齢を理由とする雇用差別を禁止する立法提案を行う予定であることが明らかにされている。

(ロ)引退と年金における高齢化への適応

 60歳代前半層の男性の労働力率は50年代から90年代の間に80%から30%に落ち込んだ。早期退職は一見社会が豊かになって収入を余暇に交換しようとした結果に見えるかもしれないが、早期退職者の40%は不本意でもっと働きたかったという調査結果もある。今後ベビーブーム世代が早期退職していけば、老齢従属人口率は上昇し、社会保障負担は増大し、多くの分野で労働力不足が発生するであろう。

 今日年金制度の改革について、賦課方式でいいのか、積立方式に変えるべきかという点に焦点を当てて議論がかわされているが、いかなる方式をとろうが、現役世代から引退世代に移転しなければならない資源が増大するということに変わりはない。年金改革はアクティブ・エイジングと高雇用率で支えられなければどのみち有効ではない。

 年金制度をサステナブルなものにするには早期退職の趨勢を逆転させることである。それには人々の引退行動を変える必要があるとともに、人々が働きつづけることへの障害とディスインセンティブを除去し、同時に高齢労働者のための適当な雇用機会を提供していかなければならない。その際、段階的な、パートタイムによる退職は、実効的引退年齢と公的年金の支給年齢のギャップを埋める重要な方法である。高齢労働者の期待と態度を変えていくには、よりよい雇用機会と職業生活に残るインセンティブを与える必要がある。

 多くの加盟国では基礎年金と所得維持のための積立部分からなる二層制を採用しているが、EU単一市場によってEU大の資本市場が形成され、年金基金のリスク分散と高リターンが可能となってきている。主たる問題は、いかにして年金の安全を確保するかにある※2。

 性(ジェンダー)の視角から見ると、特に現役時代に労働力率が低かった高齢女性のために最低生活保障制度も重要である。他方、裕福な老人も多いことを考えると、年齢間の再配分だけでなく、同一年齢層内の異なった集団間の再配分の視点も重要になってきた。

 なお、1999年中に、新たな社会保障に関するコミュニケーションを発表する予定であるが、そこでは高齢化を大きな柱の一つとし、早期退職の逆転、段階的引退、サステナブルでフレクシブルな年金について提言されることになっている。

(ハ)健康な高齢化を通じての健康と介護のニーズへの対応

 高齢化はわれわれの健康資源に負担をかけるが、健康促進、健康なライフスタイル、事故の防止、よりよいリハビリテーション等を通じて負担を最小化することができる。特に、若年・中年期からの健康な栄養や心身の活動を含む予防戦略が有効である。

 介護の問題については、45歳から65歳の中高年女性が多く家庭での非払いの介護労働に従事しており、男女均等の観点から問題がある。しかしながら、今後人口が高齢化して行く中で、女性がこの負担を負いつづけることを期待するのは非現実的である。男女間の非公式的な介護責任のよりよい分担と公式的介護システムの能力の大きな拡大が必要である。リハビリサービス、ホームヘルプ、ホームナーシング、収容長期介護施設の拡大が特に必要である。健康と社会サービスの協同による介護の中の継続、すなわち公的、ボランタリー、私的営利介護供給者のコンビネーションと家族介護者へのよりよい支援の結合が重要である。最近加盟国で導入された介護保険は潜在的利点がある。高齢者の生活の質と何らかの独立性と自己決定の保持の可能性もまた極めて重要である。

 本文書は結論として、高齢者に対する差別的な態度と慣行は、不公正なだけでなく、資源の浪費でもあると述べ、より長く働き、より段階的に引退し、引退後の活動機会を得ることが高齢期を通じた最大限の独立独歩と自己決定を確保する最善の道であると結論付けている。

(5)障碍者政策の転換

 現在EUレベルでは1986年の障碍者雇用勧告が、公平機会原則、ネガティブな差別の除去及びポジティブ・アクション(障碍者雇用率の設定等)を規定しているが、拘束力ある法制はない。1996年7月に欧州委員会が発表した「障碍者の機会均等に関するコミュニケーション」(COM(96)406)は、障碍者について、伝統的な福祉の観点よりも、機会均等と人権に焦点を当てて、社会と労働市場に積極的に参加することを目標として掲げている。上の勧告が障碍者の特性に配慮して「公平な」(fair)機会を唄っていたのを、いわば男女均等と並ぶ権利問題として打ち出したところが目新しい。男女均等計画と同様「メインストリーミング」(障碍者対策を傍流の特別な対策とするのではなく、EUの政策活動の主流に置くという趣旨)を打ち出しており、政策方向の転換が示された。

(イ)障碍者のメインストリーミング

 1999年初めに書かれた第5総局内部のワーキングペーパー「EU雇用・社会政策における障碍者のメインストリーミング」は、非差別、雇用、社会的統合を3つの原則として掲げている。現時点でもっとも包括的な障碍者政策に関する最新の文書であるので、公式文書ではないが、以下にその内容を概観しよう。

 同ペーパーは、政策転換の必要性の理由として、障碍者の権利と自由を守り、社会への統合と機会均等を確保する必要性の認識が高まり、いわば障碍への市民権的アプローチが発展してきたこと、消極的、依存助長的な障碍者所得維持政策が、近年特に英蘭等で障害・傷病給付が増大していることに見られるように、公的支出の増大をもたらしていること、人口の高齢化の中で障碍者についても活動人口として経済的負担を背負う側に回ってもらう必要があること、を挙げている。

 新たなアプローチは、障碍を正常からの逸脱と捉えるのではなく、人間の多様性と捉え、障碍者が直面する制約を障碍ゆえと見るのではなく、社会の均等な機会を与える能力の欠如のゆえと見、恩恵ではなく権利、分断と疎外ではなく市民権と統合を唱導する。

(a)差別との戦い

 EUの障碍戦略は、障碍者が他の市民と同じく社会生活に参加する基本的権利を有するという固い信念に基づいている。欧州委員会はアムステルダム条約による改正後のローマ条約第13条に基づき、雇用、職業分野におけるあらゆる根拠の差別を禁止する立法を提案するべく準備を進めており、障碍者問題もこの枠組みの中で取り上げられる。

(b)障碍者の雇用水準の向上

 EUの戦略は、障碍者が長期失業に転落することのないように、自分たちを支援や援助がなくては働けないものと規定してしまうことのないようにする。成行き政策(wait and see policy)は障碍者にとって破壊的である。障碍者が労働市場で出会う状況は、早期の積極的な介入が功を奏するような状況なのである。

(c)社会的統合の促進

 高レベルの社会保障は障碍者の生活と所得を保障するための第一の関心事項であるが、所得による解決だけでは主流社会への完全参加を可能にするためには十分ではない。重要なのは社会保障政策を障碍者の統合機会を拡大するような労働市場政策と結びつけることなのである。

 障碍は社会的疎外と貧困の原因であるが、これは何より雇用機会の欠乏によるものである。社会的疎外との戦いはアムステルダム条約による改正後のローマ条約第137条によって可能となった。これにより障碍者を含む傷つきやすい人々の生活水準を引き上げ、生活条件を改善することを可能にするように、社会参加や社会保障の条件に投資することを喚起するであろう。


 最後に、本ペーパーは、障害者団体NGOとの対話を、労使対話(social dialogue)と並ぶ市民対話(civil dialogue)の一環として位置づけ、促進することとしている。


※1 条文は以下の通り。
  ECの全ての労働者は社会保障に関する権利を持ち、地位、雇用されている会社の規模に関わらず。十分な水準の社会保障給付を享受する。
 労働市場に参入又は再参入できず、生存手段のないものは、その状況に応じ、十分な生活手段と社会援助を得ることができなければならない。

※2 補完的年金(supplementary pension)については、EUは1997年6月に「補完的年金に関するグリーンペーパー」、1998年5月に「補完的年金:次のステップ」、1999年5月には「補完的年金:欧州委員会コミュニケーション」と続けざまに見解を示している。このうちさいごのものの内容は以下の通り。
  全ての加盟国において、将来の年金受給者は、基本的な公的スキーム(第1の柱)から受け取る給付を、二つの主要な形態の補完的スキーム:すなわち会社又は産業レベルで組織され、使用者と労働組合によって管理される職域スキーム(第2の柱)及び例えば生命保険会社によって企画される個人年金プラン(第3の柱)に拠出することにより補完することができる。
  問題は補完的年金における単一市場の欠如であり、他の加盟国へ年金受給権を移転することが困難である。このため3つの措置が必要。
 @職域年金基金(第2の柱)のための適切なルールを定める指令案の提案(基金メンバーの権利を最大限保護すること)
 A労働モビリティの障壁の除去(公的年金についての調整を職域年金にも拡大)
 B加盟国の税制の調和(当面、移民労働者の国境を超えた職域年金保険料支払いについて立法化)