第36回連合総研フォーラム~生活向上につながる賃上げの実現と労働環境の改善へ~が開催されました
2024年10月29日
連合総研は、10月29日、「第36回連合総研フォーラム~生活向上につながる賃上げの実現と労働環境の改善へ~」をオンライン(ウェビナー)で開催しました。
本フォーラムは、翌年の春季生活闘争に向けて、現下の経済情勢を把握するとともに、経済社会や雇用・労働に関する課題を議論する場として、連合総研の年次報告書である「経済情勢報告」の公表に合わせて例年10月下旬頃を目途に開催しているもので、今回は約140名の参加がありました。
はじめに主催者を代表して神津理事長が挨拶し、今次フォーラムのテーマを紹介した上で、賃上げによる成果の公正配分を、真の意味での経済の好循環につなげていくための課題について論議を進めたい旨を述べました。
続いて、連合総研に常設されている経済社会研究委員会の主査を務めていただいている吉川 洋氏(東京大学名誉教授)より「日本経済の現状と課題」と題した基調講演をいただきました。日本経済を巡る現状として、デフレからインフレへ経済の潮目が変わってきていることなどを指摘いただいた後、日本経済の長期停滞の背景にあるイノベーションの後退、賃金・所得の伸び悩みや将来不安、消費停滞等の問題を考察いただいた上で、少子高齢化・人口減少の下で生産性の向上や実質賃金の上昇を実現するためには、イノベーションを再度活性化することが不可欠であるとの問題提起をいただきました。
その後、齋藤 潤 氏(日本経済研究センター研究顧問)、永瀬 伸子 氏(お茶の水女子大学基幹研究院教授)、太田 聰一 氏(慶応義塾大学経済学部教授)の3人のパネリストにご登壇いただき、「生活向上につながる賃上げの実現と労働環境の改善へ」と題したパネルディスカッションを行いました。今後の賃上げのあり方、正規・非正規に分かれた雇用システムの変革の方向性、高齢化社会における労働災害についての考察など、多角的な見地から課題提起をいただきました。
さらに、質疑応答のセッションにおいては、ウェビナーの参加者から、今後の賃上げの見通し、物価上昇や生産性向上と賃上げの関係、供給サイドと需要サイドの強化策の関係、労務費の価格転嫁のあり方、女性や非正規労働者の地位・待遇の向上策など各種の質問が投げかけられ、パネリストとの間で示唆に富む議論が展開されました。
最後に、吉川先生からパネルディスカッションの統括的なコメントと、各パネラーの発表を踏まえた問題提起が行われました。
資料3:正規雇用と非正規雇用者に分かれた雇用システムをどう変えていくのか(永瀬伸子氏).pdf
資料4:高齢化社会における労働災害をあらためて考える(太田聰一氏).pdf
(参考)生活向上につながる賃上げの実現と労働環境の改善へ 2024年~2025年度経済情勢報告
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2024/10/290900.html
写真上段 左:基調講演&コメンテーターの吉川洋氏 右:パネラーの齋藤潤氏
写真中段 左:パネラーの永瀬伸子氏 右:パネラーの太田聰一氏
写真下段 左:コーディネーターの市川連合総研所長 右:パネルディスカッションの様子