シンポジウム「新しい時代の保険者自治に向けて ~企業年金・健康保険組合に対する労働組合の関与とガバナンス~」を開催
2026年4月14日
連合・連合総研は、4月13日、シンポジウム「新しい時代の保険者自治に向けて ~企業年金・健康保険組合に対する労働組合の関与とガバナンス~」を対面とオンラインの併用により開催しました。構成組織(以下「産業別労働組合」)、労働組合(以下「単組」)、健康保険組合、研究者、マスコミなどから約230名の方々に参加いただきました。
このシンポジウムでは、「企業年金・健康保険組合に対する労働組合による関与とガバナンスに関する調査研究委員会」の成果としてまとめた報告書『新しい時代の保険者自治に向けて ~企業年金・健康保険組合に対する労働組合の関与とガバナンス~』(2025年11月公表)をもとに議論をしました。
連合総研の清水秀行理事長による開会挨拶の後、研究成果の報告を行いました。
はじめに、駒村康平・慶應義塾大学経済学部教授(本研究委員会主査)から「新しい時代の保険者自治に向けて ~企業年金・健康保険組合に対する労働組合の関与とガバナンス~」と題して、調査結果の概要および報告書全体のまとめについて報告いただきました。駒村主査は、健康保険制度と現在の確定給付企業年金(基金型、以下DB基金という。)の前身である厚生年金基金制度における保険者自治について、保険者が国家から一定の独立性を有しつつ自律的に制度運営を行う仕組みであり、DB基金を含め加入者・被保険者(労働者)は、給付と負担の双方に関わる利害関係者であり、その意思を制度運営に適切に反映させることが不可欠であると解説。労働組合は、個々の加入者の声を集団的意思として集約し、制度運営に反映させる役割を担うことから、保険者自治の重要な担い手となり得ると述べました。形式的な「労使同数代表」の選出にとどまらず実質的な「労使共同自治」が行われるべきところ、現実には「使用者・事務局自治」に陥りがちで、今回の調査結果でも労働組合の関与は限定的であることがあらためて確認されたことから、雇用の流動性の高まりや女性・高齢就業者の増加を踏まえ、単組、産業別労働組合、連合の積極的な取り組みの重要性を指摘しました。
続いて、白石憲一・群馬医療福祉大学社会福祉学部教授(本研究委員会委員)から「確定給付企業年金と労働組合の関与」、丸山桂・上智大学総合人間科学部教授(本研究委員会委員)から「企業型確定拠出年金(DC)と健康保険組合におけるがん検診にみる労働組合の関与について」、上村一樹・東洋大学経済学部准教授(本研究委員会委員)から「確定拠出年金と確定給付年金の代替性と労働組合の関係について/労働組合と健康保険組合の協働による健康増進事業への影響」と題してそれぞれご報告いただきました。
シンポジウム後半では、駒村主査、松本展哉・健康保険組合連合会政策部参事(本研究委員会オブザーバー)、永井幸子・連合総合政策推進局長の3名が登壇しディスカッションを行いました。
まず、労働組合調査結果で労働組合の関与が限定的だった点について永井総合局長は、「労働者と労働組合の関心や知識の不足は、企業年金や健保制度の内容の難しさによる悪循環によるのではないか」と分析し、連合によるさらなる情報提供や連携の好事例の共有など、産業別労働組合や単組の取り組み支援を進める考えを述べました。
松本参事は「健保組合加入事業所における過半数労働組合や労働組合関係者の組合会議員や理事の状況を把握する画期的な結果だ」と評価。報告書で駒村教授が強調する保険者自治について、松本参事もその重要性を指摘しつつ、労働組合の健保組合に対する認識や関心が十分でない点について「労働組合の認識を一層高めていくことで健保組合の強みを伸ばせるのではないか」と期待を込めました。
駒村教授は、労働組合の取組について、「産別は単組の交渉資源を補う情報提供や同業他社の情報共有を行うといった取り組みが重要」として、健康保険組合の労使理事懇談会を毎年行っているJAMの取り組みを評価しつつ、単組が被用者代表として自信をもって参画していけるためのサポートの重要性を強調。連合に対しては「情報共有のシステムを構築し、得られた情報を政策・制度議論に生かし、特定の労働者の利益に留まらない公共的な意見表明を行うことが求められる」と述べました。
資料1_基調講演_新しい時代の保険者自治に向けて~企業年金・健康保険組合に対する労働組合の関与とガバナンス~.pdf
資料3_企業型確定拠出年金(DC)と健康保険組合におけるがん検診にみる労働組合の関与について.pdf
資料4_確定拠出年金と確定給付年金の代替性と労働組合の関係について 労働組合と健康保険組合の協働による健康増進事業への影響.pdf