連合・連合総研共催「賃金構造の分析に関するシンポジウム」を開催
2026年7月13日
連合総研は、7月9日、連合との共催により「賃金構造の分析に関するシンポジウム」を対面とオンラインの併用により開催しました。労働組合役員、研究者、マスコミ関係者など、約250名の方々にご参加いただきました。
本シンポジウムでは、「賃金構造の分析に関する調査研究委員会」の成果としてまとめた報告書『多様な人材の活躍に向けた人事・賃金制度改訂と労働組合の役割』をもとに、研究成果の報告と議論を行いました。
清水秀行連合総研理事長による開会挨拶の後、研究成果の報告を行いました。
はじめに、鬼丸朋子氏(中央大学経済学部教授。本調査研究委員会主査)から、「総論および雇用形態間格差是正に向けた人事・賃金制度改訂」と題して、調査結果の概要および報告書全体のまとめについて報告いただきました。鬼丸主査は、不合理な格差を是正するためには、労働組合が職場で働く人々の声をきめ細かく把握し、制度に反映するとともに、制度改訂後も運用状況を確認しながら、中長期的に改善に向けた取組を継続することが重要であると指摘しました。
続いて、田口和雄氏(高千穂大学経営学部教授、本調査研究委員会委員)から、「正社員内格差是正に向けた人事・賃金制度改訂」と題して報告いただきました。田口氏は、地域限定職をはじめとする正社員区分の見直し、区分間の柔軟な転換、基本給や手当による処遇差の設定などの事例を紹介し、制度改訂後も適切に運用し、人材が活躍できる環境を目指すことが重要な課題になると述べました。
次に、新沼かつら氏(連合 労働条件・中小地域対策局局長、本調査研究委員会委員)、青木宏之氏(香川大学経済学部教授、本調査研究委員会委員)から、「人事・賃金制度改訂と労働組合」と題して報告いただきました。新沼氏からは、労使協議の頻度の高さ、多層的な組織体制、非正規雇用で働く仲間の組織化など、日常的なコミュニケーションの積み重ねが、建設的な労使関係と制度改訂の基盤になることが報告されました。青木氏からは、労働組合には、組合員への説明や意見集約、格差の是正、不利益変更への対応、制度導入後の検証などを通じて、多様な「公正さ」を調整し、構築していく役割があることを示しました。
加えて、鬼丸主査は、本調査研究委員会の到達点として、各労組・産別のご協力のもと労組名を公表しつつ充実したケースレコードを揃えられたことに謝辞を述べたうえで、良好な労使関係を支える労使・組織内コミュニケーションに積極的に取り組む労働組合の姿を明らかにするとともに、人事・賃金制度の改訂において労働組合が果たす役割を横断的に捉えることができたと述べました。また、今後の調査研究に向けた課題として、賃金水準を含む制度改訂の実態をさらに深掘りすることや、労組側だけでなく会社側からも聞き取りを行うこと、上部団体および労働組合のない職場の状況に加え、組合執行部と職場との意思疎通や情報量の差、そのギャップをどのように埋めているのかについて、さらに検討する必要があると指摘しました。
その後、質疑応答を行い、不合理な格差と合理的な処遇差をどのように捉えるか、制度改訂に対する組合員の納得をどのように形成するか、労働組合が制度改訂に深く関与する中で組合員への説明責任をどのように果たすかなどについて、活発な意見交換が行われました。鬼丸主査は、制度改訂に対して組合員に「肚落ち」してもらうためには、労働組合が組合員から信頼される存在となり、当たり前の取組を泥臭く続けることが重要であると述べました。また、手間暇とコストをかけなければ生み出されないものにも、改めて目を向ける必要があると指摘しました。
最後に、連合総研の市川所長から閉会挨拶があり、シンポジウムを終了しました。
報告1_総論および雇用形態間格差是正に向けた人事・賃金制度改訂_鬼丸主査.pdf