連合総研シンポジウム 「人材育成と企業連携~技術革新や産業構造の転換への労使の対応~」を開催しました。
2024年12月13日
12月11日、連合総研シンポジウム「人材育成と企業連携~技術革新や産業構造の転換への労使の対応~」をオンライン(ウェビナー)で開催しました。
本シンポジウムは「産業構造の大きな変化などをふまえた就労支援と能力開発の一体的な仕組みの実現に向けた調査研究委員会」がとりまとめた研究成果を報告し、より議論を深め、社会に広く発信することを目的に開催したもので、労働組合、企業、研究者やマスコミなど約100人の参加がありました。
シンポジウムでは戎野淑子氏(立正大学経済学部教授、本研究委員会主査)から研究委員会の目的や調査概要ならびにヒアリングを通じて得られた「人材育成と企業連携」に関する知見についての基調講演があり、企業における人材育成の重要性と課題提起としてグループをはじめとする企業や組織との連携の必要性が示されました。
次に各委員からの報告に移り、島貫智行氏(中央大学大学院戦略経営研究科教授)からは、「企業グループにおける人材活用と労使関係」をテーマに4つの企業グループにおける人事評価や配置、人材育成の仕組みを類型化が示されるとともにグループ内単組の連携の重要性について報告がありました。
藤本真氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構副統括研究員)からは、「中堅・中小企業における能力開発の現状と課題」をテーマにヒアリングしたグループ系企業と独立系企業の人材育成の取り組みをJILPTのアンケート調査結果からベンチマークし、その特徴的な違いについて報告がありました。
戎野淑子氏からは、「地域の人材育成」をテーマにヒアリングした地域中間組織についてのそれぞれのカリキュラム内容と、それらカリキュラムを目的などから企画タイプごと類型化を図り、地域中間組織がもつ役割と持続可能性も含めた課題を示されました。
藤波美帆氏(千葉経済大学経済学部准教授)からは「求められる『変化適応能力』の養成と人事管理の課題」をテーマに、それらに取り組むヒアリング事例を示しつつ、今後求められる変化適応能力などを身に着けていく過程において、企業のみならず受講する労働者にも役割とそれに伴う負担が生じることについての報告がありました。
松岡康司氏(連合総研主任研究員)からは、「就労支援・能力開発の一体的な仕組みの構築に向け、労働組合が期待される役割についての考察」をテーマに企業研修や採用情報を提供する「産別アカデミー」を連合のもとにネットワーク化し、さらには地域中間組織と連携する仕組みの構想や、政労使の協力によるあらゆる労働者や求職者に対する能力開発と就労機会の提供の必要性が訴えられました。
最後に、質疑ではウェビナー参加者から「中高年労働者における変化適応能力を身に着ける際のサポート」についての質問があり、藤波氏からは「中高年労働者の心理的不安の解消が重要であり、その対応として会社だけではなく労働組合がキャリアコンサルを実施することが有効ではないか」との回答が示され、全体でこれを確認し、シンポジウムを閉会しました。
資料00_【戎野 淑子氏】人材育成と企業連携(総論).pdf
資料01_【島貫 智行氏】企業グループにおける人材活用と労使関係.pdf
資料02_【藤本 真氏】中堅・中小企業における能力開発の現状と課題.pdf
資料04_【藤波 美帆氏】求められる「変化適応能力」の養成と人事管理の課題.pdf