シンポジウム「フリーランスの権利保護と労働組合」を開催
2026年2月 3日
連合総研は、1月27日、シンポジウム「フリーランスの権利保護と労働組合」を対面とオンラインの併用により開催しました。フリーランス、労働組合役職員、研究者、マスコミなど約130名の方々に参加いただきました。
このシンポジウムでは、「フリーランスの実態に関する調査研究委員会」の成果としてまとめた報告書『フリーランスの権利保護と労働組合』(2025年12月公表)をもとに議論をしました。
神津里季生・連合総研理事長から開会挨拶を述べた後、研究成果の報告を行いました。
はじめに、呉学殊・労働政策研究・研修機構特任研究員(本研究委員会主査)から「フリーランスの権利保護と労働組合」と題して、調査結果の概要および報告書全体のまとめについて報告いただきました。呉氏は、調査結果をふまえ、取引関係の対等性確保、誤分類の是正および労働者性の判断基準の緩和、セーフティネットの強化、集団的労使関係の構築の必要性について言及しました。
続いて、後藤究・成城大学法学部准教授(本研究委員会委員)からは「フリーランスの権利保護に向けた提言-労働法及び労働組合運動の視点から」と題して報告いただきました。後藤氏は、労働者性の考え方、責任を負うべき使用者とは誰なのか、所得保障の必要性、労働者供給事業の可能性などの論点について取りあげました。フリーランスの取引条件を集団的に取り決めることは独禁法に抵触するかという問題については、フリーランスが憲法28条の団結権保障を享受する場合は独禁法違反のおそれはないと解すべきとの考えを明らかにしました。
その後、労働組合で活動されている3名のコメンテーターの方々から、フリーランスの組合員の声、組合活動の実態などの紹介を交えながら、2つの報告に対するコメントをいただきました。
関口達矢・全国ユニオン事務局長からは、荷量の多さ、それに伴う事故の発生などアマゾン配達員の過酷な実状、解雇や未払い残業代をめぐる裁判の状況、アマゾンの団交拒否による不当労働行為の救済申し立てなどについて紹介いただきました。
土屋学・日本音楽家ユニオン代表運営委員からは、「やりがい搾取」の状況にある演奏家の切実な声、最賃交渉や生成AIへの対応など幅広い組合活動について紹介いただきました。日本音楽家ユニオンが、ある最賃交渉先の団体から、団交は独禁法違反であると主張され、統一交渉を拒否されている問題については、統一交渉は職能労働組合として正当な権利だと主張しました。また、労働者供給事業を実際に運営していくことの難しさについても言及がありました。
小林妙・連合フェアワーク推進局長からは、Webサイト「Wor-Q」による情報提供、イラストレーター向け標準契約書のひな型作成、連合フリーランス労災保険センターの設置など、この数年間で連合が進めてきた取り組みを紹介いただきました。
最後に、呉氏からは「アマゾンでは会社側が正式な団交に応じない状況ではあるが、労働組合が任意の交渉により成果を積み上げている実態もある。労働組合に結集し、一緒に行動していくことが重要」、「韓国では労組法が改正され、2026年3月から使用者性が拡大される。契約当事者ではないが、労働条件の実質的な決定をする地位にある者は団交に応じなければいけなくなる。日本にとって参考になるのではないか」、後藤氏からは「訴訟の場で労働者性を争う場合には、時間的なコストがかかることも多い。そのため、迅速に、かつ、同じような状況にあるすべての人びとに対して労働者性を認める仕組みが必要」、「ドイツには芸術家社会保険制度に代表されるように、フリーランスの芸術家をサポートする仕組みが存在するが、その基礎には、文化国家の重要な担い手であるフリーランスの芸術家を支えなければならないという社会共通の価値観がある。法制度・法解釈だけではなく、そのような価値観を日本社会でいかに共有するかが今後の課題だ」との一言をいただき、シンポジウムを終了しました。