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JTUC Research Institute For Advancement Of Living Standards

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前理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「これからのキーワード」

File.32016年3月17日発行

5年前の3月11日も金曜日だった。早いもので、東日本大震災発生から5年の月日が経過した。深く鎮魂の祈りをささげたい。

復興再生は本格的になっている分野もあると思うが、未だ17万人強の人たちが全国で避難生活を余儀なくされている。また、あるアンケート調査では、「風化していると感じる」が"どちらかといえば"を入れて70%を超えている。11日に都内で開催された東日本大震災5周年追悼式で、福島県の佐久間さんは遺族代表の言葉の中で、「・・・私たち遺族にできることは再びこのような悲しいことが起こらないよう、そして大震災を風化させないために、私たちの経験を、これから先も世界中に伝えていくことが重要なのではないかと思います。・・・」と述べた。

私たちは、私たちが働き・暮らすこの社会で起こった東日本大震災を、決して風化させてはならない。私たち個人ができることがあるはずだ。たとえば、被災地を訪問して現地の人の話を聞き意見交換することや、被災地の物品を購入することなどなど。また、連合ボランティアをはじめ被災地と深くかかわってきた人たちは、この5年の節目に改めて自分が見たことややってきたことを、職場や地域に是非伝えてほしいと思う。

話は変わるが、海を越えたアメリカの大統領選挙・予備選では、まさに想定外のことが起きている。民主党のバーニー・サンダース氏の予想以外の健闘ももちろんだが、最も注目を集めているのがドナルド・トランプ氏だ。昨年末には、ほぼすべての政治の専門家が冬で失速することを予想していたが、それに反し共和党代表の最右翼となっている。

主張していることは支離滅裂、ポピュリズムを煽るやり方といっても過言ではない。あの種の人物が大統領になることはないと、アメリカ国民の良心を信じたい。馬鹿馬鹿しいということは容易いが、私たちはこの現象からも学ばなくてはならない。

彼が多くの支持を集めるのは、いくつかの理由があるのだろう。1つは民主党のサンダースの人気も含め、国民が既存・既成の政党や政治家に不満を抱いていること、2つ目に主張していることがわかりやすいこと、3つ目に本音で語っていることが挙げられるのではないだろうか。

これらは政治の世界だけでなく、「絶え間ない自己改革」「難しい時代の中でのわかりやすさの追求」「健全な本音での議論」は、私たちのこれからのキーワードでもあると思う。

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