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前理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「自分の感受性くらい」

File.22016年2月17日発行

戦後現代詩の長女と称された茨木のり子氏が享年79歳で死去して、今日10年を迎える。

『わたしが一番きれいだったとき』は多数の国語教科書に掲載された。詩集『倚りかからず』は、朝日新聞「天声人語」で取り上げられたことで話題になり、詩集としては異例の15万部の売り上げを記録した。『自分の感受性くらい』は私も若い時、よく口ずさんだ。

『自分の感受性くらい』

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

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