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前理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「東京から一番目(?)に遠いまち」

File.782022年6月13日発行

島根県の西部にあり、山陰地方の中では最も人口が少なく約23000人強の江津市(ごうつし)。中国山地を山陽側から貫いて流れる、中国地方最大の河川、江の川がこの市で日本海に注ぐ。

東京からの移動時間距離が最も遠い都市、「東京から一番遠いまち」として、2020年の首相方針演説で取り上げられ、高校の「地理A」の教科書でも紹介されている。

その江津市への出張の話が舞い込んだ。しかも、コロナ禍でストップしていた数年ぶりの宿泊出張である。江津市の江津地域雇用創造協議会の事業推進員のリーダー格である知人からの依頼だ。

江津地域雇用創造協議会は、2020年に行政・商工団体・関係機関等を構成団体として設立し、厚生労働省の委託事業「地域雇用活性化推進事業」に取り組んでいる組織である。具体的には、「市内外から選ばれる魅力ある雇用の場」の実現を目指して、「事業所の魅力向上・事業拡大」「求職者等の人材育成」「就職促進」などの取り組みを企画・運営している。

これまでは、具体的な研修やセミナーが主体であったが、今年度はさまざまな立場の人からの講演も交えながら推進したいとのことで、今年の2月に依頼があった。

このような機会でもないと、おそらく江津市を訪問することはないだろうとも思いながらお引き受けした。加えて、その知人と旧交を温めることも楽しみのひとつだった。

講演は今月初旬、平日の午後1時30分から、しかも失礼ながら前述したように小さな市であるにも関わらず、経営者の方を中心に想像以上の皆さんに参加いただいた。貴重な時間を割いて参加くださった皆さんに、ひとつでもふたつでも参考にしていただけたなら幸いである。

そして、協議会の推進員の方々には大変お世話になった。人数も少なくご苦労も多いと思うが、そこで活動する人たちの姿に、新鮮さと爽やかさを覚えた。メンバーの中には、東京都出身で東京の企業で勤務されていたが、夫の故郷へのUターンで転地したIターンの女性もいた。キャリアカウンセラーでもあり、それらの経験を生かしながら企画・運営に奮闘していた。

雇用のミスマッチや生産年齢人口の減少に対応するため、魅力ある情報を発信しU・I・Jターンの地域への誘導や、離職者の再就職促進など課題は山積だと思う。

"皆さんの頑張りは、必ず結果として現れる"そんなエールを送るとともに、これからも陰ながら応援していきたい。

尚、江津市の石見智翠館高校の生徒が再調査したところ、江津市は「東京から3番目に遠いまち」であることが判明したそうだ。ちなみに、1番目は益田市、2番目は大田市、どちらも近隣の市であり、さほど変わらないと思うが、江津市の方々から叱られるだろうか・・・。

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