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の視点

変化に対応するために -カルスのような全能性がほしい―

戸塚 鐘2020年12月 8日発行

 2020年も残すところわずかとなった。2020年はやはり新型コロナウイルス感染症の影響が何よりも大きかったことは言うまでもないだろう。私自身はwithコロナの状態がしばらくつづきafterコロナ、そしてpostコロナとなるにはもう少し時間がかかるのではないかと感じている。コロナは世界中で日常生活や仕事に大きな変化をもたらした。コロナ前にもAIIoTの進展により生活や仕事に大きな変化が起こることが予測されていたが、コロナはそのような変化を加速度的に進めている気がしてならない。実際、私自身の生活や仕事でも短期間に大きな変化が起きており、今後それら変化への対応がますます必要となるであろうし、どのように適応していけば良いか日々考えさせられている。

 突然だがカルス(callus)という単語をご存じだろうか。カルスは未分化の植物細胞群の事である。植物の細胞は受精卵から細胞分裂を繰り返し、花や葉といった組織へと機能分化していく。最初は何にでもなれる細胞(受精卵)であるが、花となる細胞では「花の遺伝子(設計図)」が葉となる細胞では「葉の遺伝子(設計図)」が発現することで、それぞれの機能をもった組織へと変わるのである。このように花や葉となった細胞にホルモンを作用させることで、機能分化した状態をリセットすることを脱分化といい、脱分化させた細胞の塊をカルスとよぶ。カルスは脱分化によって全能性(花でも葉でも何にでもなれる)を持っている。

 コロナの影響による急激な変化に適応するには、新しいものを取り入れる感覚がとても大事であろう。カルスが持つ全能性のように、いったん身についた常識(分化)を脱分化し、新しい常識を取り入れられる柔軟さが重要であると感じている。

 そのように考えた場合、日本ではすでにいくつかの新しい常識が比較的柔軟に取り入れられているように感じる。例えば日々マスクをすることである。思い返せば日本でもコロナが広がり影響が出始めた当初は花粉症の時期との重なっており、私自身は花粉症のため毎年5月連休くらいまではマスク生活だったのでそれほどマスク着用に違和感はなかったが、そうではない人たちにとってマスクは息苦しくストレスだったことだろう。マスク着用の有効性については様々な見方も言われてはいるが、12月現在、周囲を見回してもマスクをしていない人はほとんど見かけない。自分自身がコロナにならない、また逆にウィルスを広めないための対策として日本では新しい常識として柔軟に取り入れられた結果であろう。

 また、連合総研の業務ではオンラインでの活動が取り入れられた。所内の会議やセミナー、そして研究委員会でもオンライン形式が取り入れられている。担当している研究委員会では訪問インタビュー調査を計画していたが、それらもオンラインとなった。インタビュー先の多大なるご協力もあり、実際に行ってみるとオンラインでもインタビューは行えるもので、やり方次第なのだなと感じている。快くご協力いただいた関係者の皆様には心より感謝申し上げたい。

 私にホルモンを作用させても植物のように脱分化はできないが、失敗を恐れずに新しいことを取り入れられる柔軟性を持つように努めていきたい。全能性を持つカルスのように。

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