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私にとっての休み方改革と、考え方の工夫

鶴岡純2025年12月22日発行

「働き方が変わると、休み方も自動的に変わるのだろうか」

連合総研レポートDIO(2025年11月号)で「真の休み方改革に向けて」という特集を組む中で、私はこの問いを何度も考えることになりました。
あえて「真の」という言葉を付けたのは、制度や仕組みを整えるだけでは、働く人の行動を含めた休み方そのものはそう簡単には変わらないと感じていたからです。

この問いを掘り下げていく中で浮かんできたのは、組織は複数の要素が絡み合って成り立っており、どれか一つを変えただけでは、他の要素との噛み合わせが崩れ、やがて元に戻ってしまうのではないか、という疑問でした。
働く時間が短くなっても、評価の仕組みや仕事の進め方が変わらなければ、組織や人の行動は大きくは変わりません。むしろ、「早く仕事を終えなければならない」というプレッシャーや焦りが強まり、それが周囲との関係性を悪化させてしまうケースもあるのではないでしょうか。

こうした状況では、休むこと自体が気がかりになり、休み方も形骸化しやすくなると考えています。プレッシャーや焦りは目に見えにくいものですが、人の心身に影響を及ぼしているように感じています。
そうした問題意識から、私の関心は次第に「身体」に向かいました。人は、どんなときに疲れが抜け、また前向きに考えられるようになるのか。そう考えながら自分自身の日常を振り返ってみると、そのヒントは意外にも身近なところにありました。
仕事から少し距離を置いて過ごしているときの方が、頭がすっきりするだけでなく、身体の緊張も自然とほどけ、結果として疲れが抜けていく感覚があることに気づいたのです。

私の場合、そうした時間をつくってくれるのが、身体を動かすことです。走っている最中や、その前後に歩いているとき、仕事のことを意識的に考えていないにもかかわらず、ふと「そういえば、あの仕事はこうやればうまくいくのではないか」という考えが浮かんでくることがあるのです。休むとは、身体と頭の使い方を切り替えることでもあるのではないか。休み方改革を考える中で、私はそう考えるようになりました。

こうしたひらめきは、その場で記録しなければ、すぐに消えてしまいます。良いアイデアが浮かんだはずなのに、後から思い出せないという経験は、多くの人にもあると思います。そこで私は、スマートフォンの音声入力機能を活用しています。歩いているときや走り終わった直後に浮かんだ考えを、その場で自分の言葉として残し、後で整理することにしています。必要に応じて生成AIと壁打ちしながら、思考を深めることもあります。

最初から机に向かって完成形を作ろうとするのではなく、身体を動かしながら素材を集め、後で構成を整える。その方が、結果的に効率も質も高まると感じています。こうした工夫は単なる仕事術というよりも、疲れた頭を無理に動かし続けないための「休み方」の一つだと考えています。
こうした工夫を続けるうちに、私自身、「休む」とは何もしないことだけでなく、思考の使い方を切り替えることも重要だと感じるようになりました。

一人の働く人として、普段の生活や思考のリズムを見直すことから始まる「休み方改革」もあるのではないでしょうか。
そうした小さな変化が積み重なれば、仕事の進め方が少しずつ変わります。その変化が職場に広がり、周囲とのかかわり方にも表れるようになったとき、やがては組織のあり方や働く文化そのものにも影響を及ぼしていくはずです。

(関連リンク)
特集「真の休み方改革に向けて」 連合総研レポートDIO 2025年11月号 No.413
https://www.rengo-soken.or.jp/dio/2025/11/250900.html

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