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前理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「民進党よ、地べたを這いずり回って党の再生を」

File.82016年8月 8日発行

英国のEU離脱、日本人も犠牲になったバングラデシュのレストラン襲撃テロなど国際社会を揺るがす大きな出来事が相次ぎ、日本でも舛添東京都知事の辞職に伴う都知事選に注目が集まる中で、第24回参院選が投開票された。また7月末の都知事選では大差をつけて、小池氏が新都知事に選出された。そして内閣改造・与党自民党役員人事、9月の民進党の代表選挙、臨時国会へと政治の季節が続く。

参院選の"大人?"の評価と課題は、DIO9月号巻頭言を参照願いたい。

ここでは紙面の関係で言及できなかった、この選挙から導入された18歳・19歳の投票行動について触れてみたい。18歳・19歳の投票率は45%強、18歳は51%強、19歳は40%弱となった。この投票率の評価を考える前に、私は本来民進党が重視してきた若い世代の支持が低迷したことに衝撃を受けている。ある報道機関の調査によれば、新たに有権者となった18歳、19歳の約4割が与党に投票し、民進党へは2割程度にとどまったとのことである。「人への投資、未来への責任」を訴えた民進党の政策が「こども・子育て・女性・若者」だったにもかかわらず、この結果である。また、同じ出口調査では、与党に投票した有権者が重視した政策で最も多かったのが「景気・雇用」(36%)、民進党の場合は「憲法改正」(23%)。結局、選挙戦で「2/3阻止」などのスローガンを掲げ「憲法改正阻止」を中心に訴えた民進党に、将来不安を抱える若い世代からの支持は集まらなかったということであろう。

いずれにしても、投票率の低さは、現政権に変わりうる選択肢がない、また争点がすれ違っていた選挙であったことを物語っている。民主党政権時代の混乱への幻滅感、すなわち失望と落胆が有権者の心の中から消えていないため、安部政権への不満の受け皿になりえていない。そして、参院選寸前にバタバタと衣替えした「民進党」となってもなお、表看板は民主党政権時と何らかわらない。野党統一候補として一人区で健闘し現職2閣僚を落選に追い込んだといっても、結果として自民党一強は崩せなかった。

政策を鍛えるとともに、一度失った信頼は容易に取り戻せないことを改めて肝に銘じて、新たな代表のもと、地べたを這いずり回って党の再生に一致して取り組むことを心より期待したい。

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