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前理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「奇妙な手紙」

File.192017年7月20日発行

少し前のことになるが、妙な手紙が舞い込んだ。

差出人は「学校法人・河合塾」。手紙の表題は「ご作品利用についてのお願い」となっている。これでは、ますます奇妙な感じがするし、私と河合塾と作品とがまったく結びつかない。

手紙を読み進んでいくうちに、だんだんと判ってきた。どうも、河合塾の公開模擬試験に、私が関連してきた記事を使用したいということらしい。ついては、著作権の関係があるので、その手続きをさせて欲しいので、了承し必要書類にサインをお願いしたいということだ。

利用作品名は「改革の優先順位が間違っている」である。確かに、どこかでそんな見出しの記事が記憶にある。それは、中央公論の2014年12月号でのインタビュー記事であった。その中央公論の特集は「人口減少が突きつける 雇用激変」であり、塩崎厚生労働大臣と私のインタビュー記事とともに、数名の学者やマスコミの投稿からなっていた。前述の作品名が、私のインタビュー記事の見出しである。

模擬試験の骨格も別紙で送付されていた。"《A》の主張と《B》の主張を出題し、問1と問2は、《A》《B》それぞれ人手不足という現状の下での「雇用の流動化」についてどのように考えているか、200字以内で説明しなさい。問3は《A》《B》を参考にして、「雇用の流動化」についてあなたの見解を600字以内で述べなさい。"という問題である。今の学生は大変だなあというのが、私の第一印象。こんな難しいことをやるのかとビックリ。私たちの時代には、当然なかった試験内容である。しかも、さらに驚いたのは、私の記事が"作品《B》"で、"作品《A》"はなんと連合総研の常設の経済社会研究委員会で、10年間の長きに渡り主査を務めていただき大変お世話になった当時法政大学大学院の小峰隆夫教授の小論文である。その作品名は「労働者不足が経済を制約し始めている」となっている。添付にPDFで、両者の記事を添付しているので、関心があれば読んでみていただきたい。

この件には続編がある。数ヶ月してまたお願いの手紙がついた。塾内の教材(非販売教材、紙媒体に限る)、模擬試験(紙媒体に限る)、模擬試験集冊子版(弊社作成の各種模擬試験問題を取りまとめ、学習指導用の教材として、模擬試験を採用された高校の先生へ会員限定のホームページを通じて3年間提供〔無償〕するもの)の3点に限って使用させて欲しいとの著作権の手続きであった。

それにしても、その模擬試験を受けた学生はどんな回答をしたのだろうか。非常に興味がある。機会があれば、是非読んでみたいものだ。

作品A)小峰教授 201412中央公論に掲載.pdf

作品B)連合会長インタビュー 201412中央公論に掲載.pdf

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