企業年金(主にDB)および健康保険組合の運営に対する労働組合による関与とガバナンスに関する調査研究
企業年金においては2011年の年金資産消失事件を機に年金基金のガバナンスの強化が図られたものの、その後資産運用手法の高度化が進むなど運用の専門性が高まっており、代議員のリテラシーの向上が求められてきている。さらに近年、企業年金制度の法律および税制の改正が頻繁に行われており、企業年金の維持・普及を重視し制度設計の柔軟性が認められるようになっており、給付の安定性が損なわれる可能性も高まっている。
更に、健康保険制度においては、少子高齢化により高齢者医療のための拠出金等が増嵩しており、労使の拠出する保険料が高騰しているとともに、拠出金等の支出が保険財政を圧迫しているとともに、加入者に対する給付の充実や、保険事業の展開を通じて、データヘルス改革の推進の果実を加入者に還元することが困難となりつつある。
こうした認識の下、健康保険組合および企業年金における労働組合によるガバナンスの実態を把握するための調査を行うとともに、労働組合によるガバナンス機能を強化するためのナショナルセンターや構成組織などを含めた取り組みの在り方や、制度的な対応などに関する提起を行うために、標記調査研究委員会を実施する。
研究期間
2022年10 ⽉〜2024年9 ⽉